T太郎

湿地のT太郎のレビュー・感想・評価

湿地(2006年製作の映画)
3.7
1008
アイスランド発のミステリー映画。
終始、曇天模様の寒々しい空の下、陰鬱な湿地帯の町で繰り広げられる、恐ろしくも悲しい物語だ。

まず、ホルベルクという年配男性の他殺体が発見される。
さほど込み入った事件とは思われない。
隠蔽工作は皆無で、犯人の血痕や多分指紋も残されている。

しかし、捜査を進めるうちに、驚くべき過去の因果が露わになっていく。
そんな物語だ。

3人の刑事が登場する。
それぞれのご芳名を紹介したいところであるが、非常に覚えにくい名前なので、分かりやすくA、B、Cとしておきたい。
刑事Aが主人公。
刑事Bがハンサムな後輩刑事。
彼がお笑い部分を一手に引き受けてくれている。
刑事Cが女性刑事だ。

刑事Aは被害者ホルベルク宅で、ある写真を見つける。
十字架の墓標が写っているだけの殺風景な写真だ。
1974年に4歳で病死した、ウイドルという少女のお墓だ。
一体、被害者との関係は?

更に、ウイドルの母親関連で、次々と意外な事実が掘り起こされていくのだ。

一方、オルンという遺伝子学者のパートが、並行的に描かれている。
冒頭、オルンの幼い娘が病死し、その後の彼の様子が淡々と映し出されていくのだ。

しばし私は、オルンの娘がウイドルなのかと勘違いしていたのだが、そうではなかった。
オルンは完全に現在の人間なのだ。

オルンのパートは画面が青っぽい。
私はアホっぽいとよく言われるが、こちらは青っぽいのだ。

一体、この2つのパートがどう結びつくのか。
事件の背後に隠された驚愕の事実とは。

1回目の鑑賞では全てを理解できなかった。
登場人物の名前が覚えにくく、相関関係が掴みにくかったのだ。
刑事たちが、今何を捜査しているのかを見失う時もあったりしたのである。

しかし、ここで鋭敏な私は瞬時に気づいたのだ。

だったら2回目を観ればいいぢゃないか。
アホっぽい私は真のアホではなかった。
直ちに私はリモコン(リモートコントローラー)を操作し、2回目の鑑賞に取りかかったのである。

するとどうだろう。
たちまち物語の全体像が明らかになり、細部まで理解する事ができたのだ。
さすが私だと言わざるを得ないだろう。

ミステリーとしても面白かったし、人間ドラマとしても良かった。
“親の因果が子に報い”とは、まさにこの事だ。
悲しき血の系譜といったところか。

関係あるのかないのかは知らないが、後の「特捜部Qシリーズ」と雰囲気が似ていて良かった。

以上で今回のレビューは終わりとしたい。
何かを忘れているような気がするが、まあいいだろう。

あとは飯食って、屁ぇこいて寝るだけなのだ。
(関西弁で“おやすみなさい”の意)
T太郎

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