このレビューはネタバレを含みます
No.3762
想像以上のヘイトをぶちまけるベン・チャップマンには戦慄すら覚えるが、彼だって、生まれたときからの差別主義者じゃなかっただろうに、と思うと、
いろいろ考えさせられますね。彼が南部のテネシー州出身だったから、周りの大人でもいつもあんな罵詈雑言を黒人に浴びせていたのかもしれない。
「そういう環境で育ったから」彼はヘイトをヘイトとも思っていなかった、というなら、
「そういう環境で育ったから」こそ、もうこれから自分はヘイトはしない、という勇気と決断を持てる人を、世界中に何人増やせていけるのか、の戦いなのかもしれない。
それにしても、彼とジャッキーが「和解」したときの実際の写真を見ても、あー、映画のまんまじゃん、と思った(笑)
==========================
ドジャースがシンシナティに来た時、スタンドにいた白人の子供が、大人たちに交じって思わず「ニガー!」と叫ぶシーンがある。
とても悲しいシーンだが、あれがまさに、「環境が生み出す差別と、それに無意識に染まってしまう無垢な子供」の悲劇の象徴なんだよね。
=====================
嘆願書を出してきた選手たちに対して「嘆願書よりプレーに専念しろ! お前らなんかこれから続々と出てくる優秀な黒人選手たちにすぐに追い出されるぞ!!」と、
ド正論で叱りつけた「漢(おとこ)」ドローチャー監督が、まさかジャッキーがメジャーデビューしたとき「女性問題」で干されてた、というのは、
ちょっと笑ってしまったが、事実は複雑で面白いね。
(レオ・ドローチャーはこののちジャイアンツの監督としてワールド・シリーズ制覇も果たす、実は名将で熱血漢)
===========================
そう、何かが決定的に変わる時って、誰が何と言おうが、ドローチャーやブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)のように、毅然とした態度を取れる人が必ずいるものなんですね。
あまりのヘイトに耐え切れず、ベン・チャップマンに立ち向かったのが、その時のドジャースの監督じゃなくて(この時はドローチャーじゃないのよw)、チームメイトのエディ・スタンキーってところが、
野球好きとしては「おお!!!」っとちょっと胸が熱くなった。
(現実には、どんな理由であれ、選手が相手の監督に何かを抗議するなんてシーンはまず、見られないからね。てか、そのときのドジャースの監督はなにをしとるんじゃ!! って感じ(怒))