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天使のはらわた 赤い教室のdaiyuukiのネタバレレビュー・内容・結末

天使のはらわた 赤い教室(1979年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

息抜きに来た温泉町でブルーフィルムを観たポルノ雑誌の編集者村木哲郎(蟹江敬三)は、迫真の“演技”でレイプされる女に釘付けになってしまった。その女の“顔”は村木の使っているモデルからは想像も出来ないものだった。
東京に帰った村木は、早速女の居所をつきとめようと心当りを捜すが、結局見つからなかった。
ある日、撮影でラブホテルに行った村木は、そのホテルで受付をしているあの“女”士屋名美(水原ゆう紀)に出会う。
村木は名美に、ブルーフィルムで観たあなたの顔が忘れられない。雑誌のモデルになってくれと頼むが、彼女にとって、そのブルーフィルムは忌わしい思い出でしかなかった。
それは、彼女が学生時代に実際に強姦されたとき撮られたもので、その後、それを見た男たちは、それをネタに彼女に近づいてくるのだった。
拒む彼女をなんとか説得した村木は明日の再会を約束して別れた。
しかし、翌日、村木は雑誌のことで警察に呼ばれ、名美との約束の場所に行くことが出来なかった。
それから三年が過ぎ、村木は結婚をして、女の子も生まれた。ある日、仲間と場末のバーに繰り出した村木はそこで、街頭の女になり果てた名美に出くわした。
しつこく追う村木を、名美は、ヒモのマー坊を使って店から叩き出すのである。
翌日、二日酔の頭を抱え、名美のいる店を尋ねた村木は、マー坊に手ひどく痛めつけられてしまう。
名美が止めに入ったときには意識も薄らいでおり、目覚めたとき、村木は店の二階で寝かされていた。
そして、隣室から洩れる異様な声に気づき、ふすまの隙間から覗くと、そこで、名美とマー坊が客の前で白黒ショーを演じている。マー坊の果てた後、次々と群がる客を相手にする名美を、村木は見ることが出来なかった。
客の帰った後、名美をここから救い出そうとする村木の言葉に、名美はどうしようもない思いに、言葉を荒げた。二人は互いの思いを振りきるように、背を向けて去って行くのであった……。
石井隆脚本の「天使のはらわた」シリーズの人気を決定づけた傑作映画。
この映画では、ポルノと女、男と女の間に横たわる深い川と溝を描いている。村木が「雑誌のモデルになってくれ」と頼む時、村木にとっては女の美しさを褒め称える気持ちの表現だが、ブルーフィルムに人生を奪われた名美にしてみれば自分を欲望の対象に見られる侮辱でしかない。
それでも名美は、いいものを作りたいという村木の気持ちを信じてみようかと約束するけど、村木は約束を果たせない。
男に愛されることを諦め、男の欲望の対象でい続ける名美に、安全圏から「こっちに来い」と言う村木の言葉は届かない。
ラストに、名美が村木に投げ掛ける言葉は、欲望のままに女を振り回す男への反撃である。
名美の言葉に、男はちゃんと向き合えるのか?何年経っても、名美の言葉は男に突き刺さる。今だからこそ見たい傑作映画です。
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