WEEKEND

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのWEEKENDのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

屋内の各部屋における食事の準備やベッドメイク、シャツ畳み、扉の開閉、電灯スイッチのON/OFFなどの日常的でありながら、どこか神経症気味な行動を、フラットな固定ショットで切り取っていく。1日目夜、就寝前の息子との会話を経た2日目から徐々に前日までの完璧なルーティンが崩れていき(じゃがいもの茹で具合に失敗し、待っていた誕生日プレゼントも届かず、食事の後片付けでもナイフを床に落としてしまい、カフェオレも口に合わず、ジャケットの替えボタンを様々な手芸ショップに探しに行くも見つからず、修理を依頼した靴屋は受取時間に空いておらず、マイバッグも忘れ、カフェではいつもの定位置が先客に奪われ…)、髪型の乱れが象徴するかのように、すべてが思い通りに上手くいかずに、フラストレーションの高まりからか、次第に行動が荒れていく様がサスペンスフル。ダイニングテーブルの中央に置かれた大きな食器で無造作に紙幣がやり取りされるところも印象的。食器や包装紙の音、木製の床に当たるヒールの足音など高音域の音響もある意味暴力的に感じる。3時間以上の長編ながら極度に抽象化されたような人物の行動とその変化に緊張感が漲っている構成ゆえ、決して長くは感じない。本映画祭で上映された「アンナの出会い」とともに素晴らしい傑作。
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