多くの人の抱くであろう"映画っぽい"のイメージにはまったくあてはまらないけど、めちゃくちゃ映画だった。
部屋を行き来して電気を点けたり消したり、ドアと窓を開けたり閉めたりするリズムは「アクション」だし、想像もしなかったふうにソファに変形するベッドや映されてなくても常に動いていて存在感を放つエレベーターは「キャラクター」だし、買い出しはいつも「旅」だし、息子との会話はいつも「サスペンス」に満ちていた。(そんなこじつけをわざわざしなくたって十分心動かされるラストを迎えるのだが……)
1秒も飽きないといったらさすがに嘘になるけど、退屈を撮っているのに退屈はしない3時間強だった。