退屈な映画だけどつまらないわけではない。
正直、最後一時間は「もうどの場面でも良いから"FIN"出して終わってくれ... 長すぎるよ...」と尿意と戦っていたのはここだけの話。
部屋に入る、コーヒーを淹れる、革靴を磨く、ストーブに火を着ける、ミートローフをこねる、電気を消す。そんな日常の動作をこれでもかと言うほど繰り返し見せられる。無音の中に響く暮らしの音。そんな映像を見ている傍観者であるはずの鑑賞者が気づけば彼女の暮らしの中に組み込まれていく気がして怖かった。変わり映えのしない日々が永遠に続くんじゃないかってね。
失敗したじゃがいもをやり直すところはなんだか泣き出しそうになってしまった。セーターの綻びみたいに全部めちゃくちゃになってしまう予感がした。ぴっちりハマったピースが少しずつずれていく。
パステルトーンの家に似つかわしくないあの色。