儀式のように繰り返される毎日。同じようなことを繰り返す日々が恐ろしいのではなく、自身が決めたマニュアル通りに生活することで、"生きている"ことを保っている状況が恐ろしい。
売春もルーティンワークの一環にすぎないと落とし込むことで、性を切り売りしていることに傷つかないようにマニュアル化されてるように思えた。儀式の日々で、ジャンヌは"体を売ることなんて大したことはない"と本気で思っていたと思うし、私の仕事だからというくらいに思っていたと思う。でも、日常に綻びが出始め、マニュアル化された機械に穴が空いた時、感情を持っていることに気づく。アパートの一室の箱の中で繰り返してきた日々、あまりにも孤独、あまりにも無力、そして不快な男たち。誰に向けていいか分からない、これまでの日々への怒りが苛立ちが一瞬で立ち上り、狂気に変わったように見えた。
これは他人の話ではない。私たちも、生きるための作業として、麻痺して受け入れていることが沢山あると思う。仕方ないこともあると思う。ただ、自分の感情に耳を澄まして発信することで、物事を変えていけるのだと思う。
ジャンヌの日々、あまりにも会話がない。あってもたわいも無いあいさつ程度。社会から隔離された生活は、どんどん孤独で無味乾燥なものになっていく。人は人と接していくことで彩りを持って生きていけるのだろうと改めて思った。