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天使の影の海のレビュー・感想・評価

天使の影(1976年製作の映画)
3.5
音楽の入れ方が特に魅力的だった。
あと、後ろ姿の主人公にだんだん接近していって表情が見えるショットも良かった。

ファスビンダーは反ユダヤ主義なのかなと思ったが、結局そういった主義や格差が生まれてしまう、資本主義や都市構造を批判しているのかも。

売春仲間達の会話のようなものが小難しく、何を言ってるんだ??となる事が多かったけど、誰も彼もが投げやりで目が死んでいて、終始絶望がヴェールを覆ってるような世界観だった。
資本主義社会では、頑張り続けないと生きていけないし、貧しい者に差し伸べられる手はない。その構造がいかに人を疲弊させるか、人々のつながりを希薄なものにするかを、あの投げやりで乾いたような登場人物たちが表しているようだった。

ヒモ男がクズすぎて無理だった笑 自分で働けや!女に体を売らせたお金でギャンブルとか最低すぎるし、そもそも体が弱ってる女に売春させるのも暴力的なのも私ならブチ切れ案件。この破綻的な男と、そんな男のために働く破滅的な女という構図も、淡々と進む狂った社会と人を描いてるようだよね。

しかし金持ちで生活に苦労しなくても、社会が内包する渇きがある限り満たされることはないんだろうな、、と考え始めると生きていくのが億劫になる気がするし、解き放たれるために死を選ぶ人の気持ちも分かる。「死を願うのは、生きていくことより簡単」的なセリフがあった気がするが、確かにそうかもしれない。


あと猫を飼ってるので、猫の亡骸を見るのが辛かったわ、、
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