すたどんまん

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのすたどんまんのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

延々と生活を見せられる。ぼくたちはまるで新入りのアルバイトのように、どこに何があるか、いつ何をすべきかを把握する。人生は出来事だけで成り立っている訳ではない。出来事と出来事の間を生き抜かねばならない。落としたものは拾わねばならない。生き抜くことは待つことだ。しかし、出来事のために生きてはならない。生き抜くことが本質だからだ。結果としての、褒美としてのイベントでなければならない。でも待てない。だから赤ん坊にちょっかいをかけてしまう。
びっくりしちゃった。皿を洗っているときは、じゃがいもの皮を剥いているときは、椅子に座ってぼーっとしているときは、息子の帰りを待つ母親であったのに。
出来事に対する日常は、男性に対する女性の立ち位置だとするフェミニズムの観点からの批評に納得。

神谷美恵子『生きがいについて』より
「ブーバーの言う通り、この「瞬間」は「人生の長い道の休憩所にすぎない」のであり、人間は矛盾と葛藤のなかに身をおき、苦しみながら光を求めて行くべき存在なのであろう。(中略)問題は、この種の体験を通して、またはもっとおだやかな経過をとって、新しい精神的な生きがいが発見されるかどうかにある。」