意識を失っている最中に強姦された女性が、それを待ち望んでいるかのような描写は男の自分から見ても気持ち悪いなと思うが、全体に漂う奇妙な静けさがなんでかわからないがある種の気品みたいなものをこの映画に与えていて、酷い話なのに観ていて安らぎすら感じるのはなぜなんだろう。
クロロフォルムによる性犯罪に目覚める主人公の姿からは、コントロールできない欲望の発露よりも夢中になって外を遊び回っていた童心みたいなものを感じる。
内田裕也の、歌同様のか細い声がこの主人公にはぴたりとはまっていて、他の人にこの役を演じることはできないだろう。