ウエノ

降霊 KOUREIのウエノのネタバレレビュー・内容・結末

降霊 KOUREI(1999年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

黒沢清作品を観るたびに「私が求めてるホラー映画ってこれなんだ」と思って改めて感心します。
全ての黒沢監督の作品に通じることですが、日常にじわじわとゆっくり恐怖が侵蝕していって、気付いた時にはもう手遅れになっている世界の終末感がたまりません。

実際に幽霊が視える人がこぞって大絶賛するファミレスのホラーシーンが有名な映画。
これがテレビで放送されたとは……私はもう大人で色んな映画を観てるんで多少のホラー演出は耐性がありますが、当時たまたまテレビで観てた人はめちゃくちゃ怖かったんじゃないかなぁ。
黒沢監督作品に出てくる役所広司さんっていつもどこか疲れてて不気味なのが怖い。そして大杉漣さんはいっつも嫌な人の役(笑)
風の中から人の声がするところが本当に怖すぎて……全ての恐怖はここから始まったんじゃないかと。
女の子が見つかってからの夫婦の行動が本当に謎すぎ。奥さんの方は霊能者として有名になりたかったのはわかるけど、それにしてもなんだかなぁ……
なんか、夫婦って、相手の気持ちに寄り添うことはもちろん大切だけど、何か間違いを犯しそうになった時にはきちんと正しい道に進むようにしないといけないなって改めて考えさせられました。
幽霊といえど、小さな女の子を鉄の棒でタコ殴りできる旦那めちゃくちゃ恐ろしい……
自分のドッペルゲンガーに灯油かけて燃やすのも……自分にも同じこと降りかかりそうで怖くないですか??
回路でも思ったけど、気付いたら誰もいなくなってる展開めちゃくちゃ怖い。
刑事さんは奥さんの嘘に最初から気付いてたぽいし、有能すぎる。
役所広司のドッペルゲンガーが現れたの、冒頭で草彅くんが言ってた「もうすぐ死ぬ人がドッペルゲンガーを見るようになる」って言ってたのの伏線なのかなって思ったけど……この後役所広司は死んでしまうのかな。

ホラー演出が今まで観た黒沢清作品の中でもトップレベルで怖かったです。日常に唐突に現れるホラー描写は黒沢監督の右に出る者がいませんね……
「スパイの妻」とかももちろん大好きなんですけど、またこういうホラー作品撮ってほしいと思いました。
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