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降霊 KOUREIのmotoietchikaのレビュー・感想・評価

降霊 KOUREI(1999年製作の映画)
3.8
こんな話なんだ!?
序盤でシンプルに「そこに何かいる」怖さをやったところ(ファミレスかなり怖い)からのクライムサスペンスへの移行が鮮やか。冷静な判断ができなくなって、人為によってどんどん悪い状況に転がり落ちていくシチュエーション(ブラック)コメディ的なところが好き。

あとカメラの挙動がとことん怖い。この映画、恐怖演出の8割くらいがカメラによる効果だと思う。
何よりプロットが鮮やかだし、違和感とかフックの作り方が巧すぎる。それなのに緊張感ありすぎてダレることもなく、緩急もある…。完成度は高い。

ストーリー的には回収されていない伏線もあって、それはそれでいいんだろう。
ドッペルゲンガーのくだりは序盤で意味深に「死ぬ直前に見ることがある」と語られたあとしばらくして「実物」が登場するが、「死ぬ」場面までは描かれない。
そもそもこの映画のオチは「霊的なものに対する解決」ではなくて「男女の人間関係の決着」だし、キャッチコピー通り《悪夢》は全く終わっていない。そう考えるとこの結末のさらに後も続いていく《悪夢》の中で死ぬ未来が約束されているのだろうと思うと、終盤の役所広司の吹っ切れたような顔にもまた違った含みが与えられるように思う。
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