大島育宙

Aサインデイズの大島育宙のレビュー・感想・評価

Aサインデイズ(1989年製作の映画)
4.1
崔洋一監督追悼特集で鑑賞。

返還直前の沖縄で音楽と水商売に生きる人たち。
「キチガイ」という言葉が飛び交う。
ギターで米兵の後頭部をフルスイングするバンドマン。

画面から溢れるエネルギー。
なんでこんなにエネルギッシュなんだろう。

時折思い出したかのように始まる長回し。
エリ(主人公)がバンドの練習で延々と同じパートでミスをしてしつこくしつこくやり直させられるシーンは胃が痛んだ。

サチオがエリへの当てつけで盗んできたキャベツいっぱいの車で現れる長いシーンはこの時代の邦画を代表する名シーン。キャベツを投げつけ合いながら積年の不満をぶつけ合う2人が、キャベツ球技のコントロールが向上していく様子が泣きながら笑える。

ビリヤードで米兵から金を巻き上げようとするも、やりすぎて外で喧嘩になると思いきや…のシーンは緩急が上手すぎて声出して笑えた。しかしサチオがその後に取る行動の外道っぷりよ…。

エンドロールで子役が伊藤淳史と知り驚いた。
助監督に佐々部清、中田秀夫の名前も。

強姦に始まる結婚を美化しなければならなかった時代、というのが今観るとどうしたって苦しかった。