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誘拐のmitakosamaのレビュー・感想・評価

誘拐(1997年製作の映画)
4.0
追悼・渡哲也。個人的には渡哲也の最高傑作だと思う。
映画自体も中々の名作。今回スカパーで見直して、劇場で見た感動そのままで嬉しかった。

大企業重役の誘拐事件が起き、犯人は身代金3億円の引き渡しをマスコミ公開で行わせる。
引渡人に選ばれた同じく社会的地位のある者らが、アタッシュケースを担いで都内を走り回されるという事件。
愉快犯とも取れる犯人の行動を、老刑事とFBI帰りの若手刑事のコンビで追う。
刑事モノのお約束なバディムービーであることもポイント高い。

取引相手に選ばれた老人が札束が詰まったアタッシュケース3つ担いで走らされ、刑事が引き継ぐ。
誘拐事件を追う大量のマスコミで追わせるこの有名なロケシーン…

ゲリラ撮影なんだぜ!

銀座の数寄屋橋や和光前の交差点を大人数で占拠しての撮影…当時撮影の木村大作の話で「実際は撮影を辞めなさいという警官の怒号が飛び交っていた」エピソードが笑う。
こういう無茶な撮影をした最後の作品なんだろうな。(今はむしろ映画撮影に東京都が理解を示すようになった)

掴みとなる序盤のインパクトも凄いが、中盤以降の捜査劇も面白い。謎解きの展開に引き込まれる。

以下若干のネタバレ


本来なら、主人公が犯人というのはミステリーとしては最大の反則の筈。だがそれが気にならないのはドラマとしての面白みに起因するのだと思う。
あと気なったのは、ダイオキシンに汚染された村をダムに沈めるってあり得るのかな???単純に疑問。誰か教えてくれ。

西部警察などで体当たりな役どころを熟してきた渡哲也が年を取って、こういう地に足のついた老刑事を演じたことが、氏のフィルモグラフの重要な点だと思うのだ。
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