さぃもんす

ペコロスの母に会いに行くのさぃもんすのレビュー・感想・評価

ペコロスの母に会いに行く(2013年製作の映画)
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私の母はうつ病だ。うつ病になってもう4.5年経つ。私はまだこの現実を受け入れられてない。
病気になる前は、美人でオシャレで優しくて友達に羨ましがられるような自慢の母だった。私は一人っ子なので、とてもかわいがられて育ち、私も母のことが大好きだった。
ある日そんな生活は一変した。父が倒れたことをきっかけに母が病んでしまった。初期状態の頃はよく覚えていないが、日に日に家事がままならなくなり、寝てることが多くなった。年々薬は増えていき、今ではご飯を作ることも洗濯をすることもなくなり、1日の半分以上は寝ている。家に帰ると電気がついていない、家で食べるご飯は冷凍食品か買ってきた惣菜等を一人で食べる。そんな生活が続いており、これからも続くであろう。大好きだった頃の母の面影はもうない。今は容姿がそっくりなだけで、母とは違う人と暮らしていると思い込みながら生活している。当事者が一番辛いことは痛いほどわかる。今まで出来ていたことができなくなり、身体が言うことを聞かない。だがその周りにいる人だって辛い。父は仕事人間で家にいることは少なく、兄弟はいない。頼る人がいないのだ。その上、母はどんどん老いていく。出かけることもめっきりなくなったのでおしゃれすることも減った。
本作はコメディタッチに描かれているが、やはり隠しきれていない悲しさや辛さがあった。自分の親が病気になっていない人から見ればコメディに見えるのだろう。だが、自分の親が病気を患って面倒を見てる人から見たら本作はやせ我慢の強がりのように見えた。私がまだ子供だからそのような見方しかできなかったのかもしれない。自分が大人になっていくのだから、母が老いていくことは当たり前なのだ。だが私はまだその事実を受け入れられない。家庭を持ち、子供が生まれ、親の気持ちがわかるようになってから観たら、今とは全然違う感想になるんだろう。
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