この映画は、かの最高峰アマデウスの、和製だと思った。苦しい胸の内は、表面上の懺悔だけではないと私は感じた。おばあちゃんは一度たりともそうは語らなかったけれど、あれは奥さまへの嫉妬や執念を秘めた行為だったと感じた。奉公先の家庭の為を思って仕事を全うしたのだと、登場人物の皆がそう受け取ってこの映画は終わるけれど、おばあちゃんは自分のなかの醜さを抱え、それが苦しくて最後まであんなに胸を傷め続けたのだと私は思った。おばあちゃんは、田舎から出てきたウブな女の子であったけれど、生まれながらに女だったのだと思う。好きな男が他の女に惹かれる様を間近でみるとき心の奥底から沸き上がってくるあの醜い塊を、きっとおばあちゃんも心に棲まわせたのだと思った。そしてウブがゆえ、それを最上の罪だと思い、生涯抱えてしまったのだろうと思うと胸が痛む。この映画をみて、私と同じく感じ取った人がいるなら、ぜひわかちあいたい。
