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小さいおうちのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

小さいおうち(2013年製作の映画)
3.5
中島京子の直木賞受賞作を山田洋次監督が映画化したミステリー風の恋愛ドラマ。(2013)

物語は、大学生の健史(妻夫木聡)が、亡くな った大叔母タキ(倍賞千恵子)が晩年大学ノートに綴った“自叙伝”を託されるところから始まる。

昭和11年。
山形の田舎(米沢)から出てきたタキ(黒木華)は、東京郊外に建つモダンな赤い三角屋根の小さな家で暮らす一家の元で女中として働く。
若く美しい奥様・時子(松たか子)、夫の雅樹(片岡孝太郎)、5歳の息子・恭一の3人家族が穏やかに日々を過ごしていたが、板倉(吉岡秀隆)という芸術家風の青年の出現で奥様の心は揺れ、それに気づいたタキは複雑な思いを感じる。

やがて、赤紙が届き…

「こういうことだわ。好きになっちゃいけない人を好きになってるの」

「私の中に二人の私がいて、一人は…、もう一人の私は…」

「私、長く生き過ぎたの」

品のある若奥様を演じた松たか子もよいが、やはり、黒木華の自然な演技が光る。
日中戦争が始まる昭和初期から終戦までの日本の姿が背景として描かれているが、さりげないので"戦争"について描写に深みはない。
米倉斉加年が登場してからのラストに向けの展開は蛇足。セリフのせいで作品が甘くなってしまったのが、残念。
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