イチロヲ

キャバレー日記のイチロヲのレビュー・感想・評価

キャバレー日記(1982年製作の映画)
4.5
キャバレーの従業員となった青年(伊藤克信)が、規則違反であることを知りながら、店のナンバー嬢(竹井みどり)に惚れ込んでしまう。性産業の裏事情を描いている、日活ロマンポルノ。キャバレー評論家・和田平介のルポルタージュを原作に取っている。

黒服と在籍嬢を軍隊式に管理している、架空のキャバレーが舞台。体育会系の肝が据わった主人公の視点を通して、店内の様子をシニカルに描写している。現実世界と隔絶された、異世界感覚がメチャクチャ面白い。

真正直な性格の主人公は、自分の与えられた仕事を淡々とこなしているだけであり、決して女の子を被虐的に従わせているわけではない。しかし、女の子との交流を続けるうちに、「女という商品を取り扱った商売」について、自問自答を始めていく。

ドラマ内で明確な結論を示さずに、「性産業とはこういう世界なのだ!」と鑑賞者に叩きつけてくるスタイルが素晴らしい。軍歌の内容と主人公の心情を重ね合わせる演出が抱腹絶倒。
イチロヲ

イチロヲ