の

フリークスも人間ものののネタバレレビュー・内容・結末

フリークスも人間も(1998年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

morphineがあまりにドツボで気になっていた同監督の一作。
20世紀初頭のサンクトペテルブルクを舞台に怪しげなSM写真家が2つの家庭を崩壊させる物語。フリークスとして舞台に上がるシャム双生児の少年達と、ポルノ映画に出演させられる女たちの見世物にされる悲劇が描かれる。

セピア色の画面、白夜のサンクトペテルブルク、地下のスタジオ、紳士達の集うポルノの撮影現場に小劇場、街中でありつつ寓話のようなもの悲しい世界観。
感情表現は大人しいものばかりだがシャムの兄弟を攫って儲けようと試みるヴィクトルの薄気味悪いニマニマ顔が憎らしい。
どの登場人物にも興味と悲しみと悪意が意地悪く渦巻いている。

シャムの兄弟は素晴らしい音楽の才で人気を博すも片割れを亡くし、愛するばあやを求めて映画に縋っていた男は流氷に身を任せる。少女は恋した写真技師が映画で一儲けして女達の黄色い声を浴びるのを眺め、再びSMの世界に浸る。
やるせなくて不思議と美しさも感じるそれぞれの破滅。物語を惹き立てる音楽も素晴らしい。
の