セッキー

ヴァン・ゴッホ~最期の70日~のセッキーのレビュー・感想・評価

1.5
 ゴッホ映画といえばロバート・アルトマン監督、ティム・ロス主演の「ゴッホ」(’90)やヴィンセント・ミネリ監督、カーク・ダグラス主演の「炎の人ゴッホ」(’56)を思い浮かべる人が多いと思うが、この映画はその2作が伝記的な作品であったとの対象的に、彼の晩年にあたるオーヴェル期(1890年5月-7月)のみが描かれている。
 ゴッホといえば耳切事件が有名で、上にあげた2作とも、この事件を映画のクライマックスに配置し、エモーショナルに描き切っているが、なんとこの映画でのゴッホは耳が切れていない、劇中でアルルでの悲劇を語るシーンがあるにも関わらず。そして晩年を描くのであれば、拳銃自殺のシーンは避けては通れないはずだが、なんとそのシーンすらもなく気づいたらお腹から血を流して死んでしまう。この映画ははなからゴッホのスキャンダラスな面を描く気はなく、ガシェ医師との対話や娘のマグリットとの関係が中心に描かれている。正直グダグダと続く会話と動かない画面を、大したドラマもなく158分も見させられるのは辛いが、見ていてキュンとしたところがなかったわけでもないので幾つか挙げていこう。
1、ガシェ医師の所蔵しているルノワールの絵に見向きもしないとこ。
2、子供に「砂男の絵を描いて!」とせがまれ、ミレーの「種まく人」
を紙に書いてあげるとこ。
3、テオを交えての会食の席でロートレックのモノマネをするとこ。
4、モンマルトルのダンスホールでロートレックが寝てるとこ。
以上かな。
正直前知識なしにこの映画を見るのはきついと思うので、伝記の1冊でも
読んでから見ることをお勧めします。
セッキー

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