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セインツ -約束の果て-のTaiRaのレビュー・感想・評価

セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)
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ニューシネマ現代版というより、ニューシネマその後という感覚。盛大な破滅も出来なかった男女の切なさ。

舞台は70年代テキサスだが、60年代にも50年代にも、場合によっては20世紀初頭にも見える様な時代感の曖昧さ。銀行強盗をして警官に追われ、それ相応の銃撃戦を開幕した結果、蜂の巣になって殺されるでもなく、男は女の罪を被り刑務所へ、女は男の子を産みシングルマザーに。男は妻と娘の元へ帰る事だけを考え、手紙を書きその時を待っている。女は男の帰りを思いながら娘を育てる。4年後、男は脱獄し家を目指す。余りにも撮影が美しい。ブラッドフォード・ヤングの特徴的なセピア色のカラー、光を捉えた撮影は至上。テレンス・マリックやマイケル・チミノの美しさを感じる。キース・キャラダインというキャスティングに『ボウイ&キーチ』の影など見る。ケイシー・アフレックの弱々しい声はなんとも言えないセクシーさがある。手紙の映画であるから、その文面をモノローグとして読み上げる手法に彼の声はぴったりだ。そしてルーニー・マーラは美しい。女優を美しく撮るお手本の様だ。夕焼け空を捉えた絵画の様なショットも良いが、一番記憶に残ったのは母と娘が田舎の一本道を手を繋いで帰る後ろ姿を捉えたショットだったりする。廃屋に隠れるアフレックと廃屋を調べる警官ベン・フォスターの視点を巧みに連ねた場面が大変良かった。
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