ゆず

アナと雪の女王のゆずのレビュー・感想・評価

アナと雪の女王(2013年製作の映画)
3.4
もう3年前になるのか…!動員数1500万人あたりまでは憶えてるんだが最終的に何万人が観に行ったのか。Twitterでのレリゴーフィーバーにノセられて私も観に行ったクチ。というか、大半の人がノセられて観に行ったのだと思う。

地上波で見てみたらアナとエルサが絡む楽曲には歌詞が付いていて、映画館で吹替で観た時よりも分かりやすかったかもしれない。2人の感情はしばしば交差してしまって、曲によってはまったく逆の気持ちをそれぞれ勝手に歌ってたりするので、どんなかけ合いがなされているのか目で見ても分かるのはよかった。ただ、歌の内容は理解できても、それが物語の面白さに結びついていないというか、彼女たちの気持ちはなまじ理解できるだけに、作品にとっての神であるディズニーの制作スタッフが用意した結末が本当にアレで良かったのかは疑問だ。

細部についてはさすがにとてもよく出来ていて、歌唱パートはもちろん、そうじゃない場面、たとえばアナとハンスが出会うシーンの馬とボートを使ったシーソーゲームの面白さなどは、「ディズニーまじパネエ」以外の感想がない。オラフがゾッとするくらいの自己犠牲の精神を持ってることも、無償の愛は作品のテーマと重なる。「すこーしも寒くないわ〜」のエルサのドヤ顔は忘れることができない。ハンスが大勢の兄弟を持っていて自国の王位を継ぐ可能性が限りなく低いとなれば、ああいう行動に出ることも一応の理由はあり、彼個人の悪徳というよりは君主制と貴族社会が生んだ悲しき罪という気もしてくる。ハンスに同情するわけではないが、ハンスの他の兄弟たちだって、他国の姫君に取り入らなければ富を得ることもままならない。(本編と関係ないけど)

話戻るけど、でも細部のディテールはすごく良いんだけど、全体通してのストーリーが腑に落ちなかった。真実の愛云々でああいう形を提示したのは新しいし意味があったと思うけど、そこに至るまでの精神的葛藤が足りない感じがあった。姉妹で言い争うシーンはあっても、劇中アナがエルサを見捨てることはなかった。アナは姉に対して終始一貫していたと思う。とにかく姉にまとわりつくという意味で。しかし、それは逆に、アナの成長が物語を通して描かれていないことの裏返しでもある。幼少期の不幸な出来事で疎遠になった姉妹が、どうやって奇跡を起こすほどの愛にたどり着いたかは、正直この物語からは分からないと思う。家族愛も真実の愛に違いないとは思う。ただ、何かしらの成長や覚悟、決断を見せてほしかった。
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