ゴン吉

REDリターンズのゴン吉のレビュー・感想・評価

REDリターンズ(2013年製作の映画)
4.3
年金生活を送っていた元凄腕エージェントが命を狙われるコメディアクション「RED」の続編。
ブルース・ウィリスが主演、メアリー=ルイーズ・パーカーがヒロインを演じ、ジョン・マルコヴィッチ、イ・ビョンホン、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ヘレン・ミレン、ブライアン・コックス、 アンソニー・ホプキンス、デヴィッド・シューリスらが共演。
原作はDCコミックス傘下のオマージュ・コミックスのリミテッドシリーズ「Red」。

元CIA工作員のフランク(ブルース・ウィリス)が好意をよせている年金担当者サラ(アリー=ルイーズ・パーカー)も、今やフランクに夢中。サラにとってフランクの魅力はARDS(冒険・ロマンス・危険・アクティビティ)を楽しめること。
「ARDS 冒険 ロマンス 危険 アクティビティを楽しめる」(日テレ版) 
「それはスリルと興奮 夢と冒険 危険をはらむ作戦行動をお前ととともに出来るからだ」(テレ東版)
フランクの相棒のマーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)が、フランクに危機を知らせに来るが、彼はその直後に爆殺されてしまう。フランクやマーヴィンが襲われたのは、二人が1979年のナイトシェードに関わっていたとネットに資料が流れたことが原因だが、二人はそれには心当たりがない。フランクは資料をネットに流したワイン通のカエルを見つけるためにパリに飛ぶが、そこで元恋人でロシアの諜報員カーチャ・ペトロコヴィッチ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)と再会する。フランクはカーチャとともに捕まえたカエルの供述によりナイトシェード計画とそれに携わっていたベイリー博士(アンソニー・ホプキンス)の秘密を知る。一方、アメリカのFBIは香港の殺し屋ハン(イ・ビョンホン)を、イギリスMI6は凄腕スナイパーのヴィクトリア(ヘレン・ミレン)を、フランク抹殺に差し向ける。フランクと世界各国の凄腕の殺し屋たちとの戦いが幕をあける....

タイトルのRED(Retired Extremely Dangerous)は、超危険な年金生活者のことで、本作はARDS(Adventure Romance Danger Activity)やICE(Incarcerate:監禁中・Cannot:不可・Execute:処分)などの略語がキーを握る。
前作同様に個性豊かな登場人物たちによるユーモアとアクションを交えながら、テンポよくストーリーが展開する。
特に殺し屋たちが騙し合いや出し抜きを繰り返す一方で、彼らの絆が熱い。
フランクの相棒で早々に爆死するマーヴィンを演じるジョン・マルコヴィッチが前作に引き続き本作でもいい味を出している。
「フランク 葬式の涙には感動した」(日テレ版)
「フランク 葬式で泣いてくれてグッときたよ」(テレ東版)
フランクの好敵手である世界一のプロの殺し屋を演じるイ・ビョンホンはキレッキレのアクションを魅せて、ロンドンでのブルーメタリックのスーパーカー・ロータスエキシージSによるカーチェイスでは、ヘレン・ミレンとの息の合った「見せ場」で、彼女の二丁拳銃により大きなレンジローバーが宙を舞う。
ヘレン・ミレン演じるMI6の殺し屋と宿敵ブライアン・コックス演じるロシア大物秘密工作員の仲が前作同様に微笑ましい。
一方、ゲストキャストのアンソニー・ホプキンスは、「羊たちの沈黙」(1991年)で演じたレクター博士を連想させる捉えどころのないエドワード・ベイリー博士を怪演する。本作でベイリー博士がフランクに最後に残した言葉は、「羊たちの沈黙」でレクター博士が主人公に最後に言ったセリフと同じ「Byebye」。32年間も精神障害犯罪者収容所ICE棟MI6A級警戒区域にICEされていた博士は、フランクに助け出されて、監禁された1984年当時の隠れ家に行くが、そこには当時流行ったキュービックや賞味期限が設定される前のムーンパイ、フグの毒、XKGガスなどがあり、また大量破壊兵器の隠し場所には博士が1969年の結婚記念に女房からプレゼントされたパイプがある。これらの小道具は笑いネタや後の伏線にもなっている。
デヴィッド・シューリス演じるカエルは、何年もかかって搾り集めたアマゾンアマガエルの毒をKGB本部の水に混入させて1600人を麻痺させ軍の機密を盗んだり、ワインに目がないなどキャラ設定がユニーク。ペトリュス1947年やシャトー・ディケム1847年などのワインも登場し、ワイン通は楽しめる。
女優陣の競演も見どころで、メアリー=ルイーズ・パーカー演じるフランクの現恋人でキュートなサラとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じる元カノのクールな美女カーチャの対照的な二人の熟女が、フランクの力を吸いとる”クリプトナイト”(スーパーマンのアレです)という設定でストーリーを盛り上げる。パリではバイクで逃走するカエルに対してサラの可愛いシトロエン2CVとカーチャの黒のポルシェ911によるカーチェイスで二人の”クリプトナイト”が火花を散らす。「あの女 大キラい」(日テレ版)。一方でフランクとカーチャとの庭に咲いていた黄色い花の逸話などは哀愁深い。
フランクは好敵手のハンを出し抜いて30億もする彼の自家用ジェット機を盗み、ニュージャージー・テターボロ空港やロシア・ドロホヴォ空軍基地などを経て、香港、パリ、モスクワ、ロンドンを飛び回る。舞台が変わる際に挿入される劇画がコミックを連想させて興味深い。
ロンドンのイラン大使館ではウンコが舞い上がり笑わせてくれる。
一方、本作品でも前作同様に命を落とすメンバーがでるのが切なく残念。
クライマックスではフランクらが乗ったジェットヘリが大量破壊兵器を積んだまま、まさかの墜落!
果たして彼らの運命は如何に?
「ところで カラカスに仕事がある」「それで?」(日テレ版)
「なあ カラカスで仕事の話があるんだ」(テレ東版)
エンドロールの劇画もイカしてる。

2024.4 BS日テレで鑑賞(映画劇場・字幕)
2020.11 テレ東で鑑賞(午後ロード・吹替)
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