かに座

ラスト・デイズのかに座のレビュー・感想・評価

ラスト・デイズ(2013年製作の映画)
3.8
世界的に流行した原因不明の奇病で「外に出られなくなる」事から巻き起こる主人公マルクのドラマを追った映画。
あらすじからパニック映画を想像してしまい、おそらくそういう事で評価が低いのだと思うが、その実は主人公とその上司エンリケのドラマで進んでいきます。

人員削減のために送られてきたクソ上司エンリケ。
彼のバックボーンについては本人の口から語られるのみなのですが、そのおかげで彼の人物評価をマルクと同じ目線で見ていけるのが面白いし、上手い。
マルクに感情移入している中で聞くエンリケの「自分を知る者」についての話は記憶に残り、ある目的を失ったときの喪失感もひとしおでした。
クソだと思ってた人物の寂しさや大切なものに触れ、現実世界でも誰しもがこういうの抱えてるんだよなと思いを馳せられると、もすこし人に優しい世界ができるかもしれません。

登場人物は少なく暗い所を移動するばかりですが、ストーリーとしてはテンポよくイベントが起きて話が進んでいきます。
外に出ることがどれだけ恐怖なのかという事が度々違った角度で描写され、クライマックスでのカタルシスを高めてくれます。

ちなみにこの「外に出られない」症候群についての詳しい説明はありません。
この映画において大事なのはその正体ではなく、それが何の比喩なのか、何をもたらすのかという部分だと思うので私は特に気になりませんでしたが…

自分を待つ人がいれば、いるから、恐怖の中も足を踏み出せるんだ!といったところで後日談まで描いてくれます。
主要人物はむさ苦しい二人組ですが笑、映像や画作りは綺麗で、良いもん観たなあと満足感でいっぱいです!
え、なんで評価が低いんだろう🤔笑
なんで私はこんなに気に入ったんだろう…🤔
素敵な映画でした!
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