がちゃん

渇き。のがちゃんのレビュー・感想・評価

渇き。(2013年製作の映画)
3.1
2010年、
僕は中島監督の「告白」の面白さに拍手し、
この年のBEST邦画ピクチャーに選びました。

綿密に計算されつくした脚本と、
あえて前半で犯人をわからせてしまいながらもすすむ、
ミステリー仕立てのストーリーも秀逸だった。

物語をわかりやすくするための特撮や、
スタイリッシュなカメラにも堪能させられました。

そして、満を持して本作品の発表となったわけですが、他のブロガーさんのレビューでも賛否がわかれているようです。
なるほどそうでしょう、

力作なのは認めます。
でも、面白さということでいえば、
別の話になると思います。

誰にでも好かれ、
清純な女子高生加奈子が突然失踪する。

両親は離婚しており、
加奈子は母親と暮らしていた。

母親からの一報を受け、元刑事の父親は娘の捜索に取り組むが、調べれば調べるほど、あんなに可憐だった加奈子の、
闇の部分が浮かび上がってくるのだった・・・

中島監督は「告白」で完成させた華麗な編集スタイルを、さらに進めてみようとしたふしがある。

その映像は確かに刺激的だが、
思ったほどの劇的な効果はあがっていない。
少なくとも、僕はそう感じた。

展開が速いのも現代風と言うことなのだろうが、
僕は、ストーリーに追いつくのが必死。
時折はさまれる、加奈子のフラッシュ映像も、
僕を困惑させた。

たくさんの血が流れる作品だが、
園子温監督の影響?
でも、その血はリアルじゃない。

あるいは、この作品はコメディ?
ちょっとタランティーノを意識したような。
そういう視点で見ると、だいぶ感想も変わってくる。

ラスト近くのオダギリ・ジョーと役所広司の対決シーンは、お前ら、ジェイソンかよという、不死身ぶりを見せてくれるし、二階堂ふみは、耳を切られてもなお話していたけど、失神するぞ、普通。
この作品の登場人物は、みんな不死身なのだ!

それから、役所広司の、
油ギッシュな演技も見てられなかった。
役柄的に仕方ないのかもしれないけど、
あまりにも汚くて、臭ってきそう。

「告白」のみずほ役が好演だった橋本愛も、
魅力なかったなあ。

ほとんど全員が絶叫系の演技をしていたなかで、
妻夫木聡だけが力が抜けていて、
逆に一番安心してみていられた。

結局一番おいしかったのは、
妻夫木クンだったようです。

他の出演者の方お疲れ様でした。
がちゃん

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