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渇き。のkeroleonのレビュー・感想・評価

渇き。(2013年製作の映画)
1.9
試写で拝見。
試写場に観た事ないほどの行列が出来てて、この作品の注目度を物語ってます。否が応でも期待!!

で、その期待は10乗ぐらいになって返ってきた。グロテスク的な意味でな!
設定、キャラクター、演技、演出、全てが完全に振り切れててオーバーヒート。役所広司さん演じる暴力的なブっとび父さんの言動に、眉間にシワを寄せつつ観ること序盤15分で、過去と今とが交差する血みどろの世界に目が回りそうになる。
今はダイワマンで有名な役所さんの声量にただただ驚かされました。w やっぱりすごい役者さん。
娘役の小松奈菜さんのふんわりした透明感は、なんとなく役者デビュー時の水原希子さんを思わせる。

臓器グチョグチョ、耳カット…あたりはさすがに見るに耐えず…終盤8割は目をつぶってた。音だけだったのでより臨場感あったかも。

結局、登場人物みーんな狂ってるのね。
みんなそろって心に「渇き。」を抱えてて、ズタボロなハートを剥き出しにしてお互い攻撃し合うだけ。欲望に任せて殺し合うだけ。
娘を誰よりも渇望してた父だけど、結局はその思いも自分に向けられてる。娘の心もカラカラに渇ききってる。
同じ血みどろ映画でも「地獄でなぜ悪い」にあったような映画愛とか、お互いを思う熱い気持ちとか特にない。
だから観てるこっちの心も無で、だだひたすら不快感。

家族という1番閉ざされたコミュニティーだからこそ、お互いの本当の姿を1番知らない。でも愛や情があるから家族は成り立つんだと思う。
この家族には「愛してる」なんて言葉とは裏腹に、愛情なんてあったもんじゃない。
ゆえに、自分には共感度ゼロでした。
「幸せなんてクソくらえムービー」だな。

なんか終わってくれてホッとした…観てると自分も狂いそうになってくる。
色んな意味で衝撃的、確実に忘れられない作品にはなりました。

2014.6.10
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