バテラ

サカサマのパテマのバテラのネタバレレビュー・内容・結末

サカサマのパテマ(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

目を惹くのはそのアイデアの面白さだ。
ある実験の事故で、重力がサカサマになってしまい、多くの人や物が空に落下してしまう状況になった近未来が舞台で、主人公のエイジとヒロインのパテマが出会うボーイミーツガール。

サカサマ人と思われるパテマは、放っておくと空に落ちてしまうので、エイジと常に引っ付いている。物理学的にリアルかはわからないが、重力がいい感じで釣り合っているので、2人で協力する事によって、空を飛んだりも出来る。

このビジュアル的な面白さと、パテマから見ると全てがサカサマなので、大地がなく、エイジに引っ付いてないと空に落ちてしまうという緊張感。大地という寄る辺がない状況というのは、なんとも言えない不安感がある。その見せ方が見事だ。そしてボーイミーツガールとしてのツボもしっかり抑えたエンタメ性の高いストーリー展開。

なによりこの作品が素晴らしいのは、その設定やビジュアルとテーマ性が見事にシンクロしているところだろう。

ラストでサカサマの意味は変わる。現実でも時代の流れの中で、価値は転換されていく。絶対の価値観などない。しかし、大事なことはあるはずだ。この映画はそれを鮮やかに描き出していた。
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