つきみ

ラストエンペラーのつきみのレビュー・感想・評価

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
5.0
「すべては、空虚な儀式でしかなかった——」

自身の人生を強制収容所で振り返るのは清国最後の皇帝、溥儀。
色彩の欠ける収容所での溥儀と、皇帝として閉ざされた紫禁城に君臨する鮮やかで妖艶な世界が交互に描かれるが、どちらの彼にも孤独と運命への諦念が感じられた。

生まれと時代に翻弄されたとしか言いようのない彼の人生に坂本龍一の音楽が寄り添って、素晴らしい映画でした。映画館で観れてよかった、、!

乳母が紫禁城から連れて行かれるのを追いかける幼い溥儀と、出産後の妻が満洲国での住居から連れて行かれるのを見送る溥儀が重なり、1番胸が苦しくなるシーンだった。紫禁城から出ることができても、やっぱり自由には自分を覆う壁の外には出られない、愛する人を追いかけることも許されないことに変わりはないと気づいた溥儀の心を思うと、涙が溢れる。
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