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ラストエンペラーのmoのネタバレレビュー・内容・結末

ラストエンペラー(1987年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ずっと気になっていた作品でしたが、坂本龍一さん追悼という事でこの機会に劇場で観れたのは本当に良かった、、。
溥儀の波乱の人生、大人になった溥儀の不甲斐なさ、皇帝として生まれた溥儀の不自由さ、皇帝に即位してから投獄されて皇帝時代の華やかさと投獄されている時代の殺伐とした風景が紫禁城の外では時代が動いてたという事を物語っていて、その対比がとても良かった。
幼少期まだ無知で純粋に外に出たがっていた溥儀が皮肉にも大人になっていざ城を追い出されるとなる場面はもはやそこに皇帝としての尊厳や権利はなく、それが全てだった溥儀の一族の絶望を思うと切ないものがあった。
史実とは異なる部分もあるみたいだし、作品を観た中での情報しか知り得てないけれどただ皇帝として生まれついた溥儀には紫禁城が全てだったんだと思うし、時代に翻弄された末に利用されていると理解していながら満州国で皇帝として再び過去の栄光を取り戻そうとする姿もまた切ない。
紫禁城を追い出されてからの溥儀の姿は我儘な子供がそのまま姿だけ大人になってしまったような印象だった、でもそれは紫禁城で溥儀を育てた周りの大人達の環境からそうならざるを得なかったようにも思えてしまう。
溥儀がずっと皇帝であり続けられたら、紫禁城の中でずっと生活出来ていたら、、そうしたら溥儀はずっと幸福でいられたのか?と問わればれそうではなかったのではと思うし。
城を出られた理由が不本意ではなかったにせよ、城を出る事が出来たのは事実であり、そうなってみないとわからない現実はとてもリアルで身につまされるものがあった。
皇帝という身でありながら未熟な溥儀の人間らしさ、華やかな紫禁城と伝統的な衣装や装飾はどれも美しくて映像としてもとても良かった。
最後に再び紫禁城に帰る溥儀のシーンもとても印象的で少しだけ救いのようなものが感じられた。
坂本龍一さんの手がける音楽もとてもよくて、劇場で最後クレジットが終わった暗闇の中でも流れつづけるエンディングテーマがとても感動的で素敵な体験でした。
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