80年代の猟奇殺人事件を元にしたスリラー映画。
見れば見るほど、実話だったことを信じたくなる、犯人の残酷さと当時の社会や、特に州警察の荒みっぷりを知る一作。
ラストのメッセージ……以上に写真を出していく構成は、ある種映画という娯楽としての一線を超えた、とにかく恐ろしくて悲しい事実をつきつけられ、一瞬愕然としてしまった。
が、恐らくは制作陣もそんなことは百も承知で、
それでもつい数十年前には、こんなひどい事実としてあったということを、まさに本編の過去を掘り返すがごとく訴えたかったのだと思うし、
実際ショッキングに感じたゆえに、今後もこの映画及び事件があったことを、
無意識の片隅レベルでも、時々思い出すぐらいには刻まれたと、私は思う。
そうした悲しい現実はごまんとあるのだろうが、
霧がない他人事… いやだからこそ、当事者たちも同じような意識で予期せず起こったその事実を埋もれさせることなく、こうして掘り返しては時折知らなかったものにも知らしめ、
そんなことが起きないようにという意識を一人でも多くの人に根付かせることが、
また確かに映画だから伝えていけることなんだと、改めて思わされる…。
こんな風に言葉を並べるのも我ながら苦しいとは思いつつ、
しかしこういう映画も無ければいけないなということ、
私自身も言葉にせざるを得なくなる、そんな一作だった。
