現在は生放送で感想中の丈兄丸

バッド・ジーニアス 危険な天才たちの現在は生放送で感想中の丈兄丸のレビュー・感想・評価

4.0
2019年2月8日に、地元の名画座にて鑑賞。
中国で実際に起こった集団不正入試事件をモチーフに、
カンニングという題材をスリリングに描いたタイ産学園クライム映画。



タイ映画はほぼ見たことなかったけど、これを期に色々見れるようになったらいいなと思えるほど、
『カンニング』という題材で、ここまで豊かな幅を持たせる作品に仕上げたことにただただ感服。
師匠よろしく、近年トップの緊張感。

ケイパーものジャンルの楽しさや、若者・学園の青春物語としても楽しめるが、
まだまだ全世界に通ずる格差社会の批判や、そこから人として成功することと、誠実に生きることという、
具体的なミクロから、普遍的なマクロの問題へと綺麗に繋げ、それらをエンタメと両立させて見事描き切った今作は、
“今となっては”まさに、アジアの代表となった世界的傑作「パラサイト~半地下の家族」とも重なる構成にも見えたり…



映画的な構成や演出は監督の手腕も大きいとは思うけど、
脚本制作だけで『一年半は長くはないほう』と言うほど、
土台からも妥協せず創り切った姿勢、そしてそれが見事画にもスタイリッシュに表れてて、
背景共々、知れば知るほど惚れ直すし、とにかく全方面的に万人に自信を持ってお勧めできる仕上がりっぷり。
ポン・ジュノ同様、ナタウット・プーンピリヤ監督と関係スタッフたちの新作が待ち遠しくなる一作だった!