そーる

デッドマン・ダウンのそーるのネタバレレビュー・内容・結末

デッドマン・ダウン(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

妻子を奪われた男の復讐系。

だが他の作品と今作が違うのは、
謎解きから始まり誰がボスを狙ってるか分からない状態から始まること。
もちろん見てる側はすぐさま主人公(コリンファレル)がその首謀者だと分かるのだが、
そこから妻子が殺されたからその復讐をしていることの説明があるまで少し時間が空く。
もちろん前情報を見てれば察しはつくのだろうが、
ただ何も考えず見始めたのなら物語と一緒に解き明かされる主人公の動機を共に追えるところもまた良いだろう。

もちろん矢継ぎ早に復讐を成し遂げていくわけではない。
どちらかと言えばサスペンスドラマ的な要素が強いので、主人公と事故で顔に傷を負った女性との愛模様や、お互いの傷を克服していく感じなどに焦点が置かれている。

特に印象的だったのは
その女性が母が作った夕食をお裾分けしにきたと持ってくるシーン。
そしてそれを主人公が1人頬張った時の笑顔。
母に完璧に美味しかったと伝えてくれ、と女性に言うが、
実は自分が作ったもので照れ隠しの為に自分が作ったとは言えなかっただけだった。
それを知った時、その女性の深い愛に触れたように主人公はハッとするシーンが最高に良い。


そして極め付けの台詞。
作中最後、組織での主人公の"悪友"を殺さなかったことで、
悪友は主人公に銃を向けながら聞く。
『俺に家族(妻息子)がいるから殺さなかったのか?』
そして主人公はこう答える。
『いや。家族にお前が必要だからさ』と。

この台詞はもうこの主人公しか言えないだろう、、、、とてもグッときてしまった。
残された側の気持ちが痛いほど分かる主人公だからこそ、この台詞が出てくるのだろう。
正直言ってこの手の復讐系の作品の中では随一の台詞だと思う。
こんな脚本が書けるなんて、、、どんな天才なんだ。

ありきたりと言えばそうなのかもしれない。
しかしこの映画は随所にそうした"素の人間的な片鱗"が垣間見える良い映画だった。

他にも子供にいじめられ白いドレスを血で染めてしまった女性に、主人公が同じもののプレゼントを買うが渡さず置いていくシーンや、
女性を事故に合わせた男への復讐を殺さずに生かすことで、"まだ一緒にいれる(いたい)"と言うことを伝えたりと
いちいちお互いの気持ちの伝え方が文芸的過ぎて見ていて気持ちがいい。

ぜひおすすめしたい映画。
そーる

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