Kin

パッションのKinのネタバレレビュー・内容・結末

パッション(2012年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

大好きデパルマの作品なんで劇場公開から引き続き何度目かの鑑賞。
何回観てもしっくりと腑に落ちないまま今回の鑑賞に至る。公開時はやっぱり期待しすぎてテパルマ特有のこだわりみたいなものが薄くて残念な印象だった。
今回の鑑賞で色々と腑に落ちてスッキリした。要はテパルマだからと何かを企んでると穿った見方しなければ良いみたい。

公開時はレイチェル・マクアダムスが当時のキャリアからミスキャストと思ってたけど時が経った今は気にならない。
バレエの観劇からのスプリットスクリーンは主人公の見てる物のすり替わりと時間の経過を現す表現なだけ。ここから何かを読み取ろうとし過ぎてた…🤣
何度も夢から覚めるシーンがあって、色々と惑わされまいと身を構えるけど、ここも見た通りのままで複雑に考えなくて良いみたい。🤣

ってことは結局深く考えさせようと企んだ上に肩透かしを喰らわせようとするデパルマの術中に落ちてるってことなのか…。そうだったらデパルマらしく悪趣味で何だか嬉しいけど。

ラストは葬式のシーンからイザベルの疾しさがが具現化された夢。クリスティーン殺害から逃れられない不安定な心が双子のクラリッサを登場させ襲われる。警察に動画が送られてしまう恐怖からの鳴っている携帯電話になかなか手が届かない。携帯電話はさらに自分のアリバイ作りの為スカーフを置いておいたはずの箪笥の引き出しの奥に。うなされて起きたところにダニの死体から現実。これからどうするのか、どうにかできてもずっと付き纏うであろう疾しさのあらわれ。
って考えると初期の頃からのデパルマのテーマ『払拭できない疾しさ』がこの作品にもカタチは違えど息づいてるんだね。

冒頭のMacBookのリンゴマークから引くと左手に強者クリスティーンと右手にイザベルのアップ、ラスト前の同じショットでは左手に勝ち上がって強者になったイザベルと右手にダニのショット。すぐに強者への反乱が始まるけど。この辺りのショット好きです。

ってことで鑑賞回数を重ねてどんどん好きになってる…何はともあれでパルマの真骨頂ラスト10分に酔いしれましょう。
Kin

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