カネコ

パッションのカネコのレビュー・感想・評価

パッション(2012年製作の映画)
3.5
伝説のフィギュアスケーター・エフゲニー・プルシェンコがソチ五輪フリーで滑ったプログラム”ベスト・オブ・プルシェンコ”のようにこの作品も”ベスト・オブ・デパルマ”と呼んで良いと思う。
デパルマ良いとこどり✨

出世の為には何でもする悪女レイチェル・マクアダムス演じるクリスティンとその優秀な部下ノオミ・ラパス演じるイザベルの仕事と男を巡る女同士の駆け引きと殺人。

画面の色使いが印象的だった。
前半は悪女クリスティンのターン。
画面は明るいゴージャスな色合いでクリスティンの服も赤がメイン。
赤は権力・強さ・悪魔の象徴👠

クリスティンが得意先のパーティでイザベルに赤のリップとハイヒールでドレスアップさせ、自分の顧客を口説き落としたらあげるわって焚きつけるシーン。
絶対無理って分かっててやらせてそれを見てるクリスティンの底意地の悪そうな表情が最高。

後半は神経が衰弱したイザベルのターン。
前半とは対照的に暗く冷たいブルートーンの画面にブラインドの影。
イザベルの瞳に光が当たる。
青は不安・失望の象徴。

イザベルの瞳のアップから始まるスプリットスクリーンは圧巻。

そして寝耳に水の双子の姉。
青緑色のハイヒール。
青緑色のイメージは死と毒🐍
なのでこのシーンの姉は死人であってイザベルの妄想の産物。もっと言うとこのシーン自体が彼女の妄想でクリスティンを殺してしまった事で不安に駆られている表現だと思った。

ベスト・オブ・プルシェンコの完成度は低かった。回転は抜けてしまったし往年のキレが無かったのはコンディションもあったと思う。
でも引退前にオリンピックの舞台で今までの自分の総決算を見せようという心意気は素晴らしい事だと思ったし感動した。
それと同じくこの作品にもデパルマの心意気を感じた。
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