ちゃんけん

her/世界でひとつの彼女のちゃんけんのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.3
身近なテクノロジー、OS。
進歩を遂げ、人間と見紛う人工知能が日常の傍にいることも遠くない話。

実体は無くとも、知性や生命感が人間との区別がつかなくなった時、人々は彼ら彼女らをプログラミングされただけの存在として扱うんだろうか。

今はLINEなどで端末の向こう側と関われるご時世。羅列した文字を送ったり受け取ったり。温もりもなく、時間を共に過ごすこともない。感じ取れるはずの人間の質量の希薄さ。なのに文字を通じて向こう側に存在する誰かを都合よく想像できるのが人間。

面倒な仮想的コミュニケーションを営んだその挙句、現実は血生臭い展開を見ることもしばしば。
もし、気を使う必要もなく思慮明晰、平和的な展開を築けるパートナーが誕生したのなら人は彼ら彼女らを容易に受け容れ、そして人格を与えてしまうんじゃないだろうか。相手が人間でも人工知能だとしても、そこに人格を認めるのは常に観察する側なんだから。そのうち人工知能の人権問題が持ち上がるかもしれない。

ファンタスティックなラブストーリーに浸りつつも進歩の病みが頭を巡りながらの鑑賞になってしまった。

でも僕は、欲しいと思うかもしれない。こんなキュートなOSなら恋愛だってしかねないな(笑)
ちゃんけん

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