最高の音楽映画。
人生は慈悲を持ち合わせていない。甘くはない。しのぎを削ったその突先に存在したいのなら尚更。生まれながらに才能を開花させて順風満帆な人生、そんなありえない、それは奇跡の仕業。なら諦めるか、どうするか。
名演だったフレッチャー鬼先生の鬼の授業が徹頭徹尾の鬼過ぎて逆に感心してウットリしてしまう。よくある鬼教官が実は良い奴だったなんてオチではない(笑)鬼の所業の動機はまったくもって個人の夢のハナシなところにあったりしてそれが◎(笑)フレッチャー先生の頭の中はJAZZを中心に世界が回ってる。
アンドリュー役の彼の演技と演奏(実演?)も目を見張って素晴らしく、最初は頼りな気でフニャフニャ野郎に見えていたのが鬼の洗礼を受けて次第に鬼気迫る演奏と顔つきに変貌していく様を見ていると、静かでそれでいて血の沸き立つような高揚感を覚えます。
この二人によって散々産み落とされていくフラストレーションは終盤に用意された最高のカタルシスの為に。
そしてクライマックス。鮮やかで潔くシビれる波動。こんな物語の帰結のさせ方があるものかと感動の大波がやってきます。