ザシアン

her/世界でひとつの彼女のザシアンのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.7
SNSで出会う人と人との繋がりをAI(目に見えない相手)とそれにハマるおっさんを通して描いている。好意を抱くのも突発的に切るのも自由だ。だってOSだし。だが現実はそうはいかない。
私達は他者とコミュニケーションをとるとき、ストレスやフラストレーションを感じることがある。
どんなに仲良く、気の合う存在だとしても程度の差はあれど必ずある。
当然だ。なぜなら相手は、今作に出てくるOSではなく、固有の人生を生きる一人の人間だからだ。
その結果、ぶつかり合うこともあるかもしれない。
それは人と人とのコミュニケーションの限界とも言えるだろう。
しかしその中で、相手の他者性を理解し、より良い関係を築こうとする意識こそ尊いといっているのだと思う。

技術が進歩し続けるなかで、今作のようなOSが現れるのは時間の問題だろう。
そしてOSは間違いなく、人間より優れたコミュニケーション能力を持っている。

ストレスやフラストレーションを感じない関係こそ理想的な関係と仮定するなら、人間にそれを求めるのは間違いだ。
しかし、だからと言って卑屈になることはない。
相手を受け入れようとする姿勢こそ相互理解の第一歩なのだから。
ザシアン

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