尿道流れ者

もらとりあむタマ子の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)
4.2
あっちゃん可愛い。やる気のないパグを見てるような可愛さ。
まず服装が良い。家でだらだらしてるときのリアルな色合い。大掃除の日にジャージを着て、形だけはやる気を出している感じが良い。ジャージにコートを着て買い物に行く感じが良い。
次に顔が良い。可愛い時とうわぁって声の出るブサイクな時がコロコロ変わって、それだけで面白い。食べてる時なんかは顔も姿勢もほんとにブサイク。カレーを食べるのにご飯側をほぼ正面に持ってきて食べる適当さも良い。
滑舌が悪いのも良い。話す内容が全てヌルッと耳をすり抜けていく。母に父の再婚話をして煽る場面の頼りない話し方が良い。

何も起こらないが、徐々にほんの少しの何かが変わっていく。だが表面的には何も起こらないままに終わる。前田敦子がダラけてるだけだが、それで良い映画。

タマ子もその父も中学生もみんなモラトリアムにいる。違うのはダラけてるかダラけてないかで、その分タマ子には分が悪く、父親には呆れられ、中学生にもなめられる。でも、父親は毎日ご飯を作ってくれ、少しタマ子が頑張り出したらプレゼントをくれる。中学生もなんやかんやで色々と付き合ってくれる。ダラけることの酸いも甘いもつまったダラけの教典。

少なくとも今ではないっ!と言い切る勇気がこの映画が人に与えるたった一つの影響。