ハルロック

もらとりあむタマ子のハルロックのレビュー・感想・評価

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)
4.1
23歳無職、実家暮らし。
寝て起きて漫画読んで、父親にはつれなくて、ぬるくモラトリアム延長戦を続けるタマ子の日々。

「あ〜イラつくけどこんなやついるよな」なのか、「なーんか自分を見ているようで直視できない・・」なのか、見る人によってタマ子との距離はそれぞれだろう。

もうこれ素じゃないの?と思うほど自然にタマ子のふてぶてしさと心の揺れを演じてみせた前田敦子はもちろん魅力的だけれど、そのタマ子のトゲをゆる〜く受け止める父親の存在こそが、実はこの映画の速度感そのものを体現している。
(スローテンポに停滞していたタマ子の時間は、父親の身に起こる出来事によって動き出す)
タマ子に振り回されているようで、実はタマ子の唯一の救いでなければならない父親の役目を家の外で担うのが、パシり中学生・仁なのである。

自分を取り巻く環境から目を背け毛布にくるまっていたタマ子がそっとそこから抜け出す時。見えないけれど確かなモラトリアムの終わりが、あの居間に訪れたのだろう。