イタリアの低予算ホラー映画のスタジオに雇われた真面目なイギリス人音響師が、劣悪な労働環境とホラー映画の”音”の残虐性に際限なく晒され、次第に精神のバランスを失っていく様子を描いたサスペンス。イギリスの名脇役トビー・ジョーンズ主演。
音がテーマなだけに音楽の演出が多様でジンワリ進むストーリーに華を添えてます。「悪魔のいけにえ」を見た人ならわかると思いますが、嫌いな音や人の叫び声って長く聞いてると相当ダメージありますよねー（私はあの映画がただ怖いだけでなく無性に不安と不快を掻き立てるのは残虐さよりも主人公の叫び声が原因だと思ってます）
また「マルホランド〜」で最高に印象的な「お静かに」の言葉が、この作品ではある深化を表して視覚的に使われているのも面白かった。
傍目には何も起きない地味な映画なので好みは分かれると思いますが、破綻のない作品かと思います。音の持つ暴力性に着目している点も高ポイント。
サスペンスとは言え流血はなく、映画、特にホラー映画の効果音の仕組みを知れるので、音響に興味がある人はそっちで楽しめるかと。料理するとき野菜で試したくなりますよー笑。
