マリオン

僕は友達が少ないのマリオンのレビュー・感想・評価

僕は友達が少ない(2014年製作の映画)
1.5
友達がいない高校生達が隣人部を作って奮闘する平坂読のライトノベルを映画化。普段見ている映画と比べたら出来は悪いがよくこの荒唐無稽な原作を映画っぽい体裁にまで整えたなと少し感心した。だがしかし誰に向けているのかさっぱり分からない映画だ。

アニメ1期を見ただけの立場だがそもそも原作からして映画という媒体に流し込むというのははっきり言って無理に近い題材だと思う。設定や舞台に現実感は皆無だし、キャラクターはラノベやアニメならばギリギリ成立するような(個人的にはアウト)荒唐無稽さと痛さ、ストーリーも結構無理があると思う。前半は原作の流れとほぼ同様なので原作の持つ荒唐無稽な違和感が終始続く。中二病の妹やツンデレ、男の娘に生徒会なのに明らかに校則違反なエロ衣装を着る女、10歳のシスター、親が両方とも出張でいないなどアニメですら人によっては荒唐無稽過ぎて冷めた目で見てしまうのに実写でやると余計にそう感じてしまう。無駄に差し込まれるエロ描写も痛い…と言いつつ顔はにやけているが(笑)

だが後半からのオリジナル展開が意外と映画的な物語を見せてくれる。登場人物たちはみな今の自分の立場に不当なものを感じていてそんな彼らの悲しい現実をきちんと見せつけてくれる。その後に自分の理想が叶う仮想空間ゲームで彼らは一瞬の春を味わう。基本的に明るい雰囲気だがどことなく孤独な寂しさもある不思議な感覚があって面白い。そしてここから仮想空間の脱出と主人公の成長を描き、タイトルの意味にしっかり合致するというのはなかなか上手ではないかと思う。でもセリフは全部説明、モノローグばかりというダメな邦画の典型だし、全体に漂うチープ感、PG-12にしては下品などとても面白い映画とは言えない。

役者陣はこの「痛い」キャラクターを頑張って演じていたと思う。特に志熊理科を演じた神定まおはキツイ変態キャラを頑張って演じていたと思うし、瀬戸康史と北乃きいもいい感じだと思う。オリジナルキャラの栗原類の生徒会長もなかなかだったが石原良純はいらないと思う。

ダメな映画には変わらないと思う。だがぶっちゃけアニメもこの映画もどっこいどっこいな痛さと寒さだと思うのでその意味では成功なのかもしれない。
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