尿道流れ者

インターステラーの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
4.9
最高だった。3時間の上映時間も1時間程度にしか感じなかった。相対性理論的に。

序盤からすでに素晴らしく、どこまでも拡がるコーン畑と近未来的テクノロジーとの調和が熱い。いつの時代の話なのかが分からない舞台設定に期待が高まる。徐々に露わになる世界観は僕らの生きる世界とのパラレルとなっていて、地続きではない新たな世界の存在に正しく興奮させられる。
そして知らされる破滅的な地球の未来、世界を救うためのラザロ計画とは?
家を出る主人公の姿とカウントダウンの声のクロスオーバーに早速涙腺が崩壊してしまうほどに気づいたらのめり込んでいた。

宇宙の映像は素晴らしく、静寂と轟音の音の波に気持ち良く酔う。時空を超えて宇宙の旅をする主人公達、降り立った主人公達を襲う厳しい自然で覆われた別銀河の星々。あぁっ、あぁっ良いっ!


説明もほどほど、もしくは無い状態で科学的用語を使って観ている側を煙に巻く感じがまたSF的で良い。科学的用語の氾濫に飲み込まれて酔っていく。
科学的な側面を持ちながらも宗教的(哲学的)でもある。始点は同じだったもののはずなのに常に対立したものとされる二つの側面がこの映画では見事に両立している。科学の面白味を生かした超現実的な舞台で一層剥き出しになる情感や生き物としての意味。これこそがSFのダイナミズムだと思う。

ラザロ計画のラザロとは、一度死んだがキリストの呼びかけによって復活したとされる聖書中の人物である。この映画を観ることで、大学時代にあったが冷めてしまっていたSF熱が蘇った。大人の秘める少年性を見事に復活させてくれる素晴らしい映画。
宇宙っていいわぁ、宇宙になりたいっ!