ケイ

子宮に沈めるのケイのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
4.0
こういう事件だったりを聞いたときに大概母親に怒りを覚えていたんだけど、母親がひとりで子供を育てていくことの大変さや母親が母親でい続けることの難しさを痛感する。
私は同じ境遇に立ったとき正気でいられるか分からない。映画の中の母親はギリギリまで母親を頑張っていたと思う。周りに恵まれなかったことが運の尽き。
母親の精神を食事の雑さや部屋の散らかり方、母親の化粧や衣類の変化で表していくのは表現としてとても好きだ。チャーハンで良い?と言い出てきた山盛りのチャーハンがいつまでも苦しい。
それにしても子どもはとても母親からの愛情に敏感で、母親を思った以上に見ていて、よく分からない中で反抗しつつ、でも良い子であろうとする姿、見ていて悲しくて仕方ない。
砂嵐の中のハッピーバースデーから、急に速度が上がったような、でも早く終わってほしくて長く感じるような、どうしようも無い気持ちでずっと眺めていた。
こんなことがあってはならなくとも、実際にあるのは間違い無くて、人によっては裁かれるし、人によっては病院で治療を受ける。どんなに追い詰められてもやってはいけないことと、私は恵まれた環境で過ごしているから豪語してしまうのだろうか。
こんな映画ばかり観ていると、いつまでも母親になんてなれないなと自分の未熟さと向き合う羽目になって嫌だな。何年か前に誰も知らないを観たときはこんな気持ちにはならなかったので歳を取ったのだろう。
実話を元にしている映画に対してどこまでフィクションかも分からないしなんとも言えないんだけど、なぜこういうときって誰も助けに来ないんだろ。どこかでおかしいと気づいてくれる人がいそうなものだけど、そうも行かないのかな。福祉がどうとかじゃなくてこれはご近所とかから、ね。
最近母という病という本を読んでいて、母親が子に与える影響の大きさというものがどれだけ大きいかというところを感じる。子どもたちはきっと幼いながら、分からないながらに深い傷を負ったまま亡くなっていったんだと思う。
子宮に沈める、なぜこのタイトルにしたのか気になるので後でググってみようと思う。母親だって、子どもが生まれたときはこんな風になるはずじゃないと思っていたはず。それこそ最初から父親不在なら、産声を上げる前に、ママ、ママと呼ぶ前に何か選択ができて、苦しみながら死ぬ子どもなんて産まれなかったかもしれないのに。



ネタバレかも



それにしても帰ってきた母親の行動が怖過ぎて、これで暫く私が洗濯機回せなくなったらどうすんだよ!となるくらい胸糞悪いなこれ。なんで帰ってきたんだろうな。こういうときの人殺しの手際の良さって不思議。
※虫がダメな人は絶対に見ない方が良い。
ケイ

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