右京

グランド・ブダペスト・ホテルの右京のネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

2022/7/16
映像や美術に目が行きがちだが、結構伏線やストーリーも上手く、総合点かなり高めの映画。
映像へのこだわりや舞台美術のカラーリングなど、いわゆるウェス・アンダーソンの世界観は言わずもがなのクオリティ。個人的には新聞屋のセットがかなり良かった。
有名作家の本のベースとなった、ホテルで話される昔話がストーリーの中心なのだが、凝っているのかややこしいのか、線引きが曖昧な設定は、ラストで現実に引き戻すために作られていることを考えると上手いし発想が天才。
ストーリーも美術を使用した伏線を中心に、魅せる回収が多い。逆に重要なところをあえて見せず、観客に気づかせることで飽きない演出が加わっている。ストーリーのテンポがいいことと深い表現をしているという演出をあえて加えないことで、観客の集中力が落ちることを見越して、緩急のいい場面転換を作れていて、結局めちゃくちゃ集中して見てしまう。
ラストの雑な感じは好みが分かれるかもしれないが、そもそも舞台は小咄がベースなことを加味すると、話者として結末は重要ではなく、ストーリーを展開したいだけという「ただの世間話」的な発想を取り入れているのかなとも思う。
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