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グランド・ブダペスト・ホテルのqpismのレビュー・感想・評価

4.3
心待ちにしてた新作。正直、豪華すぎる画面と字幕を両方とも追うことが難しく集中できなかった!ブルーレイを吹き替えで観るか、時間が許せば劇場で再鑑賞したいです。
次々に開くドア、たくさんの鍵たち、奥行き、ミニチュア、衣装に小道具、絢爛なホテルと数十年後の寂れた佇まい。どれをとっても完璧でニヤニヤが止まらなかった!

監督作にはいつも歪な家族像や孤児が出てくるけど、でも優しさに溢れてる。
今作のグスタフも、もともと軍人に掴みかかる、理性的で倫理観のある人物(矛盾しているようで違います)。でもいちばん感動したのは脱獄後のシーン。香水がないことでゼロをボロクソにけなすも、彼が戦争孤児だと知り狼狽し、謝り、そして2人は本当の家族になる。個人的には2人の気持ちがいちばん通い合った瞬間で思わすウルっと来ました。監督の優しさと、戦争への嫌悪感にも。

そう、反戦の映画でもありました。架空の国の架空の戦争ではあるけれども。失われつつある「文明の光」、その後に訪れるはずのファシズム、冷戦の時代。そう考えると冒頭の墓地、作家の銅像も切ない。

主人公を物語る作家すらも故人。「城がなくなり野原が あらためて そこにたった」という唄を思い出しました。でも想いは読書する少女へと受け継がれている。素晴らしい構成!

ウェス組の常連と、新しい仲間!とっても楽しかった。あー、やっぱりもう一回みたいな…
大好き!これからも最高な映画をいっぱい撮ってください!
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