トニー

グランド・ブダペスト・ホテルのトニーのレビュー・感想・評価

3.9
ファンタスティックミスターフォックスと天才マックスの世界しか手をつけていないウェス入門者の僕でもはっきりとわかる驚異の作家性。まあおしゃれ。しかし根底には戦争によって失われゆくものへの哀愁の念が込められているので所々笑いながらもずっしりとくるお話。情報量が多いので追いきれない部分があって残念です。何回か見て味わいが深くなるタイプの作品かと。ラストでグスタフがファシストに対して抵抗するシーン。野蛮に対してかすかな文明の力で立ち向かうところにグッとくる。その精神がウェスを含め現在の私達へと脈々と受け継がれていくという入れ子構造もよかったし、しっかりと見る目があれば、そういった昔の文化、どこの誰とも分からない自分に根のない文化というものにもコミットできるし対話できるという監督自身の気持ちのあらわれなのだろうと感じた。
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