ねぎおSTOPWAR

グランド・ブダペスト・ホテルのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

4.5
アカデミー受賞作品を観よう52(2014年第87回美術賞/衣装デザイン賞/メイキャップ&ヘアスタイリング賞/作曲賞)

作品賞、監督賞・・は軒並みノミネートで止まってしまいました。でも最多4部門受賞!
この映画の第一印象として強烈なインパクトを残すのは2つ!
《なんだかんだNICEなキャスティング!》
《観ているだけで楽しい撮影!》

●キャスティング
お見事だなあ。
中でもエイドリアン・ブロディとウィレム・デフォーは求められた悪さ、怖さを的確に表現!この二人が観ているものにとって嫌で怖くなかったら薄っぺらだもん!
最高でした!!

同年の助演男優賞に「バードマン」でノミネートされたエドワード・ノートンも、前述の二人との対比がいいですよね。軽妙さがまたね!割と濃い味で出来てる鍋にちょっと薄い味の具がある感じ。


●撮影
みなさんウェス・アンダーソンのSoftbankのCM覚えています??
2008年かな?ブラピを起用した「ボクの伯父さんの休暇」(ジャック・タチ)をオマージュしたやつです。
https://www.youtube.com/watch?v=g0u0oEUcasU
https://www.youtube.com/watch?v=FDYI5gbM3Q8
「グランドブダペストホテル」ではこのCMが2時間に延びたような撮影ですよね。

基本構図が素晴らしい額縁の中で人は動き、役者の目線や音での視線誘導があると即、カメラは高速パン。
画面の中にいる人物が移動する際はカメラは先にドリーしだして常に人物を画面中央で捉える。まるで背景が流れているような画。
人物の会話はカメラ目線が基本で、導線は前後左右90度か180度が多く斜めの線はあまりない。たいてい諸々入れ込もうとすると斜め位置を取るもんですが、カメラは平行に横に動くとか正面や背面直角に受ける形がほぼってことです。
これってつまり『リアリティ』の逆で、ファンタジー的な表現ですよね。
部分的にですけどギレルモ・デルトロ監督映画、ティム・バートン監督映画でもときどき出て来るワーク。

「ダージリン急行」もすっごく面白い撮影たくさんありましたが、今作はそこを極端に追及した作品ですね。とびきり愉快でした!!

あと複雑な時系列を画面サイズ(アスペクト比のこと。スタンダードモード、ビスタ、シネマ)を使って表現していました。だから執拗に<16:9にしてご覧ください>って出て来る!笑


お話の内容にはほとんど触れていないレビューでした!