Larx0517

ランズエンド -闇の孤島-のLarx0517のレビュー・感想・評価

ランズエンド -闇の孤島-(2012年製作の映画)
3.9
果てしなく続く干潟。
すべてが分厚い灰色の雲に覆われ、押さえつけられ息苦しい世界。
凍てつき吹き荒ぶ風が突き刺さる。
「上着のボタンを留めないと
風にあおられ 海に落ちる」

兄弟刑事が、越えてはいけない一線を越えてしまう。
自責の念が産み出した「影」に追い詰められ、むしばまれてゆく。
現世とのあやうい均衡を保つ「目撃者」の父。
崩壊してゆく2人と彼らを取り巻く世界。
「不幸なのは逃げる連中
友達や家族を裏切り
心の安らぐときがない」

そして風にあおられ、上着のボタンを外す兄。

エンディングロールに挿入される「家族」のモノクロ写真が幸せそうなだけに、ラストシーンの余韻にひたる観る者の心の水面に波紋をひろげ続ける。


その風貌からクセのある役や人間でない役の多いポール・ベタニー。
今作では彼は真っ向から、いきすぎた正義感から罪を犯し、追い詰められてゆく男を人間味溢れる演技をみせる。
新しい彼の一面を見て、彼の演技力が確固たるものを実感。
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