TenKasS

クラッシュのTenKasSのレビュー・感想・評価

クラッシュ(1996年製作の映画)
5.0
再見、最高。
タイツを履いた女の足の光沢は車の光沢と何の差異もなく、男の着た革ジャンもまた同じ。身体の傷も車の傷も、事故も関係を超えたセックスも、そこに差異はない。カメラがそれをそう捉えてしまうから。人間はそれを見て残酷だと思うかもしれないが、カメラは道徳も感傷も映さない。
車が駆動するように、人間が欲望する。車と車がぶつかれば事故、人間と人間がぶつかればセックス。やはりそこに差異はない。
カメラがその平板さを生み出す。ヘレンは事故映像でオーガズムを感じ、ジェームズは映像関係の仕事をし、事故に溺れ、ヴォーンは事故現場でカメラを振るい「これは芸術だ。」と叫ぶことからそこにも意識的。
その平板さを引き出してしまうクローネンバーグ。可能にさせてしまうキャロル・スピア。
TenKasS

TenKasS