このレビューはネタバレを含みます
前から気にはなってたし、「TITANE/チタン」のインスパイア元ということらしいし、クローネンバーグは新作も控えてるし、息子も頑張ってるし、ということで今さら初めて観ましたよ。「TITANE/チタン」でのアレとはちょっと違うかな。似て非なるもの。
交通事故の衝撃に性的興奮を見い出しちゃったというお話。男女はもちろん、男同士、ラストで取ってつけたように女同士のセックスシーンがありますが、ここでのセックスはすべてカークラッシュという要素が介在したもの。カークラッシュありきのセックス。究極に歪みまくったフェティッシュ。理解しようとすると妙な抵抗が生まれて嫌悪感しか残らないので、理解しようとせずに観てました。倦怠期の夫婦が新たな刺激を求めるのはいいんだけど、こういう間違った方向に行っちゃう可能性もあるのかも。いや、こういうフェティッシュに走るってことはほとんどないでしょうね。
ロザンナ・アークエット演じるガブリエルの腿裏のばっくり大きな傷跡を、女性器のように使ってセックスしちゃうジェームズの節操のなさよ。インティマシー・コーディネーターなんてものがおそらく存在していなかったであろう時代だから、結構大胆な描写。ボカシもバンバン。別に性的な意味じゃなく、ボカシなしで観たいんですよ。作品としてね。
正直、嫌悪感がかなり優位になるものの、これがすべて "クローネンバーグのお庭" での出来事だからと思ったら、すんなり納得して普通に観ちゃえるというね。性描写の過激さなんかよりも、交通事故で亡くなった有名なスターたちをあれこれ引用するあたりに、クローネンバーグの変態性と悪趣味加減を一番感じました。使えるのはどれかな、これをこう引用できるな、みたいな具合に調べまくったんだろうな。